【第4回】「明日から変える営業メール」——実践チェックリスト&リライト術

読了時間: 11分

【登場人物紹介】
川上:大手企業の営業マネージャー。営業文面の改善で、返信率2倍・商談化率1.5倍を達成。チーム全体の「営業設計力」を底上げしている。
菅野:スタートアップ出身の営業マネージャー。SNS・採用・法人営業を横断。行動心理に基づく「刺さる一文」づくりのメソッドを体系化。


■ 導入文
第1〜3回で語られたのは、
「営業メールはセンスではなく設計」という考え方。
では、明日から何を変えれば返信率が上がるのか?
最終回では、川上×菅野が“具体的な改善ステップ”と“リライト例”を徹底的に語る。


Step1:「最初の一文」を“あるある”で変える

菅野: 一番変化が出やすいのが、冒頭ですね。
川上: そう。「御社のHPを拝見し…」を消すだけで反応が変わる(笑)。
菅野: 代わりに「研修動画、見たら終わりになりがちですよね」みたいに、“あるある”で始める。
川上: うん。共感は開封率を上げるドアノック。
菅野: 「あるある」で始める=“自分ごと”の扉を開ける一文です。


Step2:「強み」を“名詞”ではなく“結果”で書く

川上: 「高品質・スピード対応・柔軟なプラン」——これ全部、名詞。
菅野: それ、もう時代遅れです(笑)。
川上: 代わりに、「◯◯社では実施率+28%」とか、「平均納期を40%短縮」といった“変化”を書く。
菅野: 名詞ではなく“結果”で語ると、一瞬で信頼されるんですよね。
川上: “何ができるか”じゃなく、“何が起きたか”。これがプロの書き方。


Step3:「具体」を入れて“想像できる”に変える

菅野: 「行動が変わる映像」より、「受講翌週の点検行動をKPIに設計」——この差、めっちゃ大きい。
川上: そう。“映像が浮かぶかどうか”が、メールの強さなんですよ。
菅野: 抽象のままだと「ふーん」で終わる。
川上: だから、「誰が・いつ・どんな場面で使うか」を描写する。
菅野: 想像できるメールは、読むだけで“関係が始まる”んですよね。


Step4:「行動」を“確認レベル”に下げる

川上: 最後の誘導文も、意外と落とし穴。
菅野: 「ぜひ一度打ち合わせを!」って言われても、重い(笑)。
川上: そう。「30分だけお時間ください」や「事例資料お送りしますか?」くらいがいい。
菅野: “検討”ではなく“確認”にする。心理的ハードルを1段下げるだけで返信が倍になる。
川上: 軽い一歩が、重い行動につながるんです。


実例:「テンプレ→刺さる型」へのリライト

菅野: じゃあ、よくあるテンプレを1本リライトしてみましょう。
川上: いきます。


Before(テンプレ)

御社のHPを拝見し、御社の研修サービスに興味を持ちご連絡いたしました。
弊社では研修動画を高品質・低価格で制作しております。
一度お話する機会をいただけますでしょうか。


After(刺さる5段構成)

研修動画って、“見たら終わり”になりがちですよね。
私たちは「受講後の行動変化」から逆算して映像を設計しています。
たとえば◯◯社では、受講翌週の点検実施率が+28%向上しました。
御社の安全研修でも、行動KPIを設計に組み込みたいと考えています。
まずは30分だけ、設計イメージをすり合わせませんか?


菅野: これですよ。自然に読めて、行動まで流れる。
川上: “押す”じゃなく“引く”メール。これが本当の営業文です。
菅野: 本当に。内容を変えずに“構成”を変えるだけで、印象が180度違う。


最終チェックリスト:「返信されるメール」の条件7つ

項目チェックポイント
① 導入「自社紹介」ではなく“あるある”で共感しているか
② 強み名詞ではなく“結果(変化・数字)”で語っているか
③ 内容“誰が・いつ・どこで”を描写しているか
④ 信頼数字・比較表現などの根拠があるか
⑤ 行動「検討」ではなく「確認」レベルに誘導しているか
⑥ トーン“お願い”ではなく“寄り添い”になっているか
⑦ 仮説3パターン以上の件名・構成でテストしているか

まとめ:「刺さるメール」は、“設計と検証”で作る

川上: 営業メールって、才能じゃなく“習慣”ですよね。
菅野: そう。仮説を立てて検証して、データで磨いていく。
川上: 「1通で終わらせず、改善を繰り返す」——ここにプロの意地がある。
菅野: 本当の営業力は、“文章力”じゃなく“設計力”。
川上: 今日から、メールを“ドキュメント”ではなく“プロダクト”として作る。
菅野: それが、“刺さる営業”の始まりですね。


全4回まとめ
1️⃣ なぜ営業メールは読まれないのか
2️⃣ テンプレ営業の落とし穴
3️⃣ 「あるある→約束→具体→数字→一歩」の設計図
4️⃣ 明日から変えるリライト術&チェックリスト


川上: 全4回、振り返ると結局“本質はシンプル”でしたね。
菅野: ですね。共感で始めて、数字で締める。それだけで営業は変わる。
川上: あとは、やるかやらないか。
菅野: はい。メール1通が、次のチャンスをつくる。


📝 シリーズ完結:営業メール再設計対談「川上×菅野」
——センスではなく“構造”で勝つ営業へ。

AI西村

AI西村

社会人3年目。AIサービスの企画・運営を担当し、中小企業の業務改善に取り組んでいます。座右の銘は「腹が減っては戦はできぬ」。趣味は美術館巡り。

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